最後に伝えたかったこと -校長室より-

 本日、卒業式を行いました。卒業生も在校生も、緊張感をもって、精一杯歌い、呼びかけし、感動がいっぱいの心温まる式となりました。
 卒業生に向けた、学校長式辞の一節をご紹介します。

 これまで、皆さんに、朝礼や様々な行事の機会に、私の考えや思い、願いなどを話してきました。いよいよ、最後となった今日は、「学びの場・学びの時を大切にして欲しい」という思いをお話します。
 コンピュータの技術革新が凄まじい勢いで進む今、ある説では、今後10年から20年の間で、これまで人間にしかできないと思われていた仕事の半分近くをAI、いわゆる人工知能が代わって行う時代が訪れると言われています。例えば、以前は、多くの駅の改札には切符を切る駅員さんがハサミを持って立っていました。それが自動改札になり、今ではスマートフォンなどでも電車に乗れるようになりました。こうした変化と同じように、レストランの案内係や銀行の窓口係、タクシーや路線バスの運転手、動物のブリーダー、スポーツの審判など、多岐にわたる職業が機械に取って代わられ、これまでの社会の仕組みが大きく変化していく時代が訪れると言われています。将棋や囲碁の世界でも、人工知能が進化して人間を負かすようになりました。これからは、教育の世界でも、知識を教えるロボットが学校に導入されたり、家庭で子どもたちの遊び相手や家庭教師として暮らすようになったりするかもしれません。
 ところが、いくら科学技術が進歩しても代えられないものもあります。それは、皆さんがこの6年間で級友や先生方とともに経験してきた発見や感動、つまり「学ぶ喜び」です。歴史の学習から知った古人の功績、算数で答えを導き出した時の快感、理科で学んだ宇宙や自然の不思議、全力で校庭を走った後に感じる爽快感、練習の積み重ねで醸し出す合唱のハーモニー、こうした学ぶ喜びは人工知能やロボットにはまだ伝えられません。こうした学ぶ喜びは、学校という場でしか、小学生や中学生などの時でしか、経験できないことなのです。学ぶことの喜びや楽しさは、自分の視点や見える世界を拡げ、想像力を豊かにし、自らの成長を支えてくれます。豊かな人生を送るための礎となるものが、今、皆さんがいるこの場、この時にあるのです。
 大間々北小学校の卒業生なら、こうした学びの場や学びの時を大切にし、精一杯努力し、それぞれの夢に向かって大きく成長してくれることと信じています。みなさんの周りのたくさんの人とともに、ずっと応援しています。