二行十八文字の卒業証書 -校長室より-

 第49回卒業式が先週金曜日に行われました。今年も子どもたちの一生懸命な歌、呼びかけが式場内に響き渡り、感動が溢れる、心温まる式となりました。
 卒業生に向けた、学校長式辞の一節をご紹介します。

 新しい第一歩を踏み出す皆さんに、校長として最後のお話をします。
 今日、皆さんは6年間の小学校生活に別れを告げ、その証として、先ほど一枚の卒業証書を手渡されました。6年という年月、日数にして、2200日近くの学校生活の結果として、一枚の証書が授与されました。卒業証書を手渡していた時、皆さん一人ひとりの凜々しい態度に頼もしさを感じました。
 証書の中には、「小学校の全課程を修了したことを証する」と、2行にわたり18文字が書かれてあります。手にした卒業証書は、お金では買えない中学校へのパスポートです。
 この一枚の証書、僅か18文字の中に、皆さんが得たこと、努力して築いたことが凝縮されています。6年間で学んだことはどこにも行きはしません。皆さんの立派に成長した心、たくましく健やかに育とうとしたその努力は、この18文字の中に全部収められているのです。
 真新しいランドセルを背負って初めて登校した入学式、たくさんの声援の中を走った徒競走、何回も消しゴムで消しながら解いた算数の問題、真夏の日差しの中、みんなで泳いだプール、感動を呼んだ組み立て体操、梅田での宿泊学習、鎌倉での班別学習など、6年間の毎日毎日のことが一つも残さずこの文字の中に収まっているのです。
 式が済んで家に帰ったなら、その証書はバインダーに入れられたまま机の中かどこかに仕舞われてしまうかもしれません。そして、皆さんはいつとはなしに、この卒業証書のことを忘れてしまうかも知れません。
 ・・・・・その後、何年か経ったある日、それは大掃除の時かも知れませんし、あるいは遠くの会社に就職するとか、結婚するとか、何かの折にふと、仕舞い忘れられてしまった一枚の卒業証書を見出すことがあるかも知れません。
 「ああっ、北小の卒業証書!」
 花で飾られたステージで、大勢の人たちに見守られて一人ひとりに手渡された卒業証書。担任は藤澤先生と亀井先生と小室先生、音楽は上野先生、理科は鹿子島先生、外国語は小暮先生、たくさんの先生方、同級生、参列した父や母・・・。
楽しかったこと、口惜しかったこと、幼かった小学校時代の思い出が胸一杯に蘇り、広がってくるのです。それは、大人になってからだけ知る、純真な思い出と呼べるでしょう。今ははっきりとは分からないかも知れませんが、その時になって皆さんは、自分を育ててくださった人たちの存在を明確に知り、改めて自分の成長を支えてくれた人たちへの感謝の心が湧いてくるに違いありません。
 大間々北小学校の卒業生なら、こうした支えに感謝し、精一杯努力し、それぞれの夢に向かって、これからも大きく成長してくれることと信じています。